レポート:こたつは何を生み出したか

レポート:潮目こたつ計画「こたつは何を生み出したか」

 

昨年10月から繰り広げられている「潮目こたつ計画」。街中に「こたつ」を出し、そこを対話の場にしてしまおうという企画です。2018年1月末時点で4回ほど開催され、それぞれに、それぞれ違った雰囲気の「対話の潮目」が生まれています。こたつで何が生まれ、地域に何がもたらされようとしているのでしょうか。こちらでレポートします。

初回は、いわき潮目劇場オープニングイベント第二部として、いわき駅前ペデストリアンデッキで開催。潮目劇場の実行委員会メンバーがこたつに座り、自分たちの企画を紹介するとともに、平と小名浜という二つの地域を取り上げて、お互いに魅力をぶつけあう「トークバトル」として集まった市民にも披露するという形式でした。メインのこたつの外側にも、こたつがおかれ、そこでは、たまたま通りがかった人たちが、時折笑顔を浮かべてトークバトルに聞き入っていました。

こたつを置くと、なぜかそこが「お茶の間」になってしまいます。普段から慣れ親しんでいる家具だからでしょう。そこが駅前でも、駐車場でも農場の脇でも、こたつに入り、そのこたつにお茶菓子やみかんが置いてあると、なぜか気持ちがリラックスして、まったりとしてしまう。そんな不思議な感じがします。

 

野外でもまったりとした対話の場に。

 

たまたま通りがかった高校生たち。

 

潮目こたつの狙いは、まさにそこです。まったりと、たまたま隣に座った人と対話ができるように、敢えて「お茶の間感」を出すようにしているのです。難しい話も、楽しい話も、ちょっとふざけた話も、こうしてこたつに入ると、何となくリラックスしながら聞くことができる。初めて会った人も、ちょっとだけ家族のような、何となく距離が縮まる。

2回目に、平のネオクラシックで開催されたときには、とても寒い日の夕方にも関わらずたくさんのお客様がトークに耳を傾けました。ネオクラシックと言えば、いわきのアラフォー世代にはとてもゆかりのあるショップではないでしょうか。当時の「ネオクラ」でアメカジを知り、オシャレへの扉を開いたかつての高校生たちが大勢いるはずです。そのネオクラシックで、いわきのアメカジの歴史を感じながら、まったりとおしゃべり。

 

日中の雰囲気。昼下がりのまったりとした空気。

 

夕暮れ時。通りがかった車から物珍しそうに眺めていく運転手の表情が印象的でした。

 

いわきの地酒なども提供している「潮目こたつ」。食の魅力を感じるというテーマも。

 

この日は、フリーカメラマンの中村幸稚さんがゲストでしたが、中村さんの話を聞こうと、市内からたくさんのカメラマンが集まり、中村さんとまったりと「カメラトーク」を展開する方も。さまざまなテーマのおしゃべりがこたつ上で展開される姿に、潮目こたつの「対話力」を見せつけられた気がしました。

3回目は、クロージングイベントが開催されていた小名浜の「タウンモールリスポ」が会場です。お店のなかに突如として出現したこたつでしたが、まず食いついてくれたのが子どもたち。「あ、こたつだ!」と気づいてくれたら、すぐにこたつに入ってきてくれます。この柔軟な心。面白いものがあったらとにかく入ってみる、やってみる。創造力の根源を、小名浜の子どもたちが感じることができました。

 

店内のセンターコートに4脚のこたつを設置。

 

ファミコンがとにかく人気でした。とても懐かしい光景。

 

またこの日はこたつに合わせて「ファミコン」も設置。スマホゲームに慣れている子どもたち、ファミコンにとても興味を持ってくれ、初めて会ったような子たちがコントローラーを奪い合うような微笑ましいシーンが印象的でした。こたつの上に置かれたファミコン。子どもたちにとって無敵のコンテンツであり続けているようです。子どもたちに連れられて、親たちもまったりとこたつタイムを楽しんでいました。

過去の3回より、さらに地域密着を図ったのが、4回目の「田人の陣」です。田人支所の隣にある「田人いちごテラス」での開催となった第4回は、地元のまちづくり若手集団TBTの皆さんとのコラボ開催となりました。田人の魅力とはどこにあるのか。どんなことをすれば外から人が来てくれるのか。こたつを囲んでのアツい議論となりました。

この日は30名近くの方にお越し頂いただけでなく、とても濃密な対話の時間を過ごすことができました。これまでは「こたつごと」にテーマが異なったイメージですが、今回はどのテーブルでも「田人活性化」について語られていましたし、地域のキーパーソンが集まっているので、話がとても現実的です。田人の皆さんも、こたつの到来を待って下さっていたようで、とてもよい空間になっていました。

田人の陣は、実行委員会のメンバーも「これだ」と手応えを得ました。ある程度テーマを絞り、何を話すかの目的をハッキリとさせたほうが対話が盛り上がり、盛り上がった分だけ参加者の満足度も上がることが分かりました。今後、この手法をうまく使って、各地でさらにバージョンアップした「潮目こたつ」を展開できるのではないかと思います。

 

4回目の田人はかなり濃密な会になりました。

 

30名近くの方にお集まり頂きました。

 

手探りながら続けてきたことで、「開いた環境で行うハプニング的こたつ」と、「閉じた環境でじっくりと行う対話空間としてのこたつ」と、二つの異なる打ち出し方、異なる効果を感じることができました。季節やテーマ、場所に合わせてアレンジできれば、市内のあちこちで開催することもできそうです。今年はチャレンジングな企画として進めてきましたが、これからもパワーアップさせて開催していきたいと思います。

報告:潮目劇場「潮目こたつ計画」企画者 小松理虔

写真提供(田人の陣):橋本栄子